【新宿区青少年団体新春祝賀パレード】
1月10日午前11時ごろから新宿通り(三越前からアルタ前)で行われたパレードに車両協力で参加しました。海江田万里先生の街宣車を借りて、パレード先頭の「大久保未来組」のダンスのための音楽を流して伴走です。
「大久保未来組」は、小学生から高校生までの地域の子どもたちのダンスチームです。好天にも応援され、毎週1回の練習の成果を立派に披露していました。
参加各団体の子どもたちの日頃の活動と指導者の方々の尽力に敬意を表するとともに、私も地域の子どもたちの健やかな成長のために活動してまいりたいとの思いを新たにしました。
14:27 2016/01/10

 【大企業の利益より“いのち”を!TPPなんかいらない12.20新宿アクション】
12月20日13時から、新宿アルタ前での「大企業の利益より“いのち”を!TPPなんかいらない12.20新宿アクション」に参加しました。
女優の木内みどりさん、山田正彦先生をはじめ多くの方がお話しされ、私も、TPPの問題は農業に限った話ではなく、都会で生活している私たちに大きな影響を及ぼす条約であることについて、お話しをさせていただきました。
お集まりいただいた皆さま、ありがとうございました。

https://www.facebook.com/tpphantai/posts/939159212837201

 【海江田万里を支える会「望年会」】
毎年恒例の海江田万里・前民主党代表の「望年会」に新宿区区議会 民主党・無所属クラブのメンバーで参加しました。
今年も新宿区内の各地で街頭演説を行ったり、地域の行事に参加させていただき、区民の皆さまにお世話になりましたが、来年はさらに地域で活発に活動し、政策を訴えていきたいとの決意を語られていました。
私も、新宿区政さらには社会全体のより良い発展のため、全力で活動して参ります。

14:48 2015/12/12

 【NPO法人監獄人権センター20周年記念パーティ】
 議会の委員会と会派の打ち合わせの後、監獄人権センター20周年記念パーティに出席しました。
 監獄人権センターは、刑務所、拘置所での人権状況を国際水準に合致するよう改善していくことを目的に、様々な活動を行っています。
 私も第二東京弁護士会の人権擁護委員会で刑務所からの人権救済申立事件を担当することがありますが、例えば、刑務所では体調に異変を感じて医師の診察を希望しても、願箋(お願いの上申書)を提出後、診察まで1か月半ほど待たなければならないことが通常です。医療を受けられず苦痛が続くだけでも大変なことですが、重大な疾患にかかっていた場合には、その期間が命取りになる可能性もあります。
 抽象的に「受刑者の人権」というと、犯罪を犯した人を甘やかすことになるという議論が出ますが、具体的な事例を見ればそのような水準に程遠いことは明らかです。
 国会議員を含む多くの方がスピーチをされましたが、アンドレア・ヒューバー氏(ピナル・リフォーム・インターナショナル政策ディレクター)がネルソン・マンデラ氏の「国家は、どのように上流階級の市民を扱うかではなく、どのように下流階級を扱うかで判断されるべきだ」という言葉を紹介していたことが大変印象的でした。
 これまで監獄人権センターに携わってこられた方々の努力に感謝するとともに、私自身も個別の人権救済申立事件などできるところから活動を続けたいと思いを新たにしました。

21:33 2015/11/30

 【平成27年第4回定例会一般質問】
11月27日(金)の本会議において、「新宿区の多文化共生への取組みについて」と題し、人口の11%が外国籍住民である新宿区が、多文化共生先進都市の目玉施策として設置した「多文化共生まちづくり会議」と「多文化共生プラザ」の運営のあり方について、問題提起と提案を行いました。
要約すると、「多文化共生まちづくり会議」ついては会議で区に提案した事項について区からのフィードバックを得られるようにすべきではないか、「多文化共生プラザ」については外国人住民の間で施設の認知度が低下し続けており運営体制の改善が必要ではないかということです。
区側からは、積極的に検討するとの回答が得られました。

質問の全文は、以下の通りです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
◎新宿区の多文化共生への取組みについて
 新宿区の多文化共生への取組みについては、人口の11%が外国籍住民であるという特徴を反映し、他の自治体と比較して先進的なものであると評価されてきました。
 特に、「新宿区多文化共生まちづくり会議」の設置、そして「しんじゅく多文化共生プラザ」の活用は、新宿区における多文化共生施策の目玉とでもいうべきものです。
 他方で、これらの運営の仕方について、若干の疑問もあり、今回質問いたします。
 まず、「多文化共生まちづくり会議」については、現在、第2期の途中にあり、今年度行っている「多文化共生実態調査」に基づく「多文化共生まちづくり会議からの提言」を準備しているところと聞いています。
 「まちづくり会議」の議論の中では、この提言において、「『ことば』の問題への支援」として、「日本語学習支援の充実」や「医療や災害時等の言語支援」といった要望を検討しているようです。
 しかし、議論を傍聴する限り、その内容には、第1期に提出された「新宿区多文化共生まちづくり会議答申」における提言内容と重複するところがあるように思われます。
 また、昨年の答申でなされた提言に対する区の取り組みの進捗状況について評価されていない中で、さらに今年度も提言を行うことに意味があるのか、「まちづくり会議」の委員の間にも、疑問の声があると聞いています。

 そこで、お尋ねします。
 「多文化共生まちづくり会議」のあり方として、区長の諮問を受け、また実態調査の結果を受けて、区に対して提言を行うこと自体は素晴らしいことです。しかし、提言された事項に関する区の取り組み状況について、「まちづくり会議」が評価し、さらに改善などの提言を行うことも必要であると考えます。そのようなフィードバックの仕組みを「多文化共生まちづくり会議」に備えることについて、区長はどのようにお考えでしょうか。

 次に、「多文化共生プラザ」の運営の仕方についてお尋ねします。
 「多文化共生プラザ」は、外国人と日本人との交流の拠点として、また生活に必要な情報を多言語で提供したり、相談する施設として設置されていますが、肝心の認知度については問題があると思われます。
 例えば、平成19年度の「多文化共生実態調査」において、外国人住民の中で、「多文化共生プラザ」の存在を知らなかった人の割合は、65%を超えています。今年度の調査ではどのような結果が出ているのかご教示ください。
 区が税金を投じ続けている施設の認知度が非常に低いことは、大きな問題です。
 「多文化共生プラザ」の積極的な利用を促すためには、イベント等を通じた認知度の向上も重要と思われますが、既に相当のイベントが行われている現実を考えると、イベントを増やすことなどによる状況の改善は限定的であると思われます。
 むしろ、区長が今年の第2回定例会における私どもの会派の代表質問に対して、新宿区における多文化共生とは、「国籍や民族等の異なる人々が互いに文化的違いを認め、理解し合い、地域社会の構成員として共に生きていくこと」であるとご答弁されたことを踏まえると、「多文化共生プラザ」の運営については、区が主導する管理型の運営から、地域住民、NPO団体、外国人住民を含む区民の団体、留学生など、様々な背景を持つ人々との協働による施設運営体制を整備し、外国人を含むより多くの人々の活動の拠点とすることが適切と思われます。
 ここでお尋ねします。
 「多文化共生プラザ」の運営について、地域住民、外国人を含む様々な団体や留学生なども参画した協働型の運営体制を整備することについて、区長のお考えをお聞かせください。
 また、さらに一歩進んで、外国人住民で構成される一定の要件を充たした団体に対し、「多文化共生プラザ」のスペースを利用させることで、より積極的に、その運営に関与させ、日本人と外国人間の交流だけでなく外国人相互の交流の拠点として活用することも考えられます。
 既に外国人を含む様々な団体の意見交換等の場として「新宿区多文化共生連絡会」が機能していることは理解しておりますが、「多文化共生プラザ」の運営を通じても、さらなる意見交換、交流が深まるものと考えます。お考えをお聞かせください。

(答弁後)
 質問の冒頭で申し上げた通り、「新宿区多文化共生まちづくり会議」の設置、そして「しんじゅく多文化共生プラザ」の活用は、新宿区における多文化共生施策の目玉であり、その運営が適切になされるか否かは、新宿区における多文化共生社会の実現の成否に大きくかかわってきます。

 「まちづくり会議」を傍聴する限り、「多文化共生プラザ」の認知度は、平成19年度の調査時と比べても、更に低下している傾向にあることが分かります。区の予算を投じ続けているのに認知度が低下している事実は、「多文化共生プラザ」の存在意義に関わる重要な問題であると考えます。「多文化共生プラザ」の運営について、その認知度が向上し、より積極的な活用が図られるよう、方策を講じていただきたいとお願いします。

 【岡山弁護士会 シリーズ憲法講演会No.6「TPPで私たちの暮らしはどうなる?」】
11月21日(土)14:00から、岡山衛生会館において、TPPに関する講演及びパネルディスカッションに参加しました。
まず鈴木宣弘・東大教授から農業分野を中心としつつ、TPPが国民生活に及ぼす影響についてお話しがあり、その後私からTPP交渉差止・違憲訴訟において、TPPの問題点を憲法問題として再構成していることについてお話ししました。
後半のパネルディスカッションでは、高橋淳・岡山県民主医療機関連合会会長からTPPが医療に及ぼす影響を、また村上光雄・JA全中元副会長から農業の現場に及ぼす影響を、それぞれお話しいただいた後、私がコーディネーターを務め、TPPの様々な問題点についてお聞きしました。
終了後、岡山弁護士会の先生方にご馳走になり、昨今の憲法問題などに関する岡山弁護士会の取り組みについてお話しを伺いました。
講師として行ったのですが、学ぶことの方が多かったように思います。

 【第2回区政報告会のご報告】
2015年11月14日(土)午後6時30分から、新大久保ゆめいろCafeにて、多くの皆様にお集まりいただき、活動報告をさせていただきました。海江田万里先生、小川敏夫先生、白眞勲先生、大島九州男先生、山田正彦先生、いのつめまさみ先生に激励のお言葉を頂戴し、また多くの皆様とお話しする中で、地方議員としてさらに研鑽を積んで参りたいと決意を新たにしました。ご出席いただいた皆様、またお手伝いいただいた皆様、ありがとうございました。

下記リンク先に、当日の写真と配布した活動報告資料を添付しています。

https://www.facebook.com/mikumo.takamasa/posts/1710133219217709

 【11・1高田馬場アクション〜憲法破壊を止めよう!】
高田馬場駅前で11月1日14時から16時まで開催された街頭アピールで、超党派の政治家、法律家、活動グループの方々がお話しされ、その中で海江田万里・前民主党代表、小川敏夫・参議院議員もお話しされました。私は、民主党の久保広介区議、小野裕次郎区議と一緒に弁士の方々を応援し、その後車上でお話しさせていただきました。以下は、私がお話しした内容です。
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 高田馬場駅前ご通行中の皆様、こんにちは。
 私は、弁護士の三雲崇正と言います。今年の5月からは、新宿区議会議員としても、この地域の皆様に大変お世話になっております。
 本日は、弁護士有志を含む市民の呼びかけによる「憲法破壊を止めよう」というアピールが、この高田馬場駅前で行われると聞き、私も、法律家の一人として、また地方議員の一人として、参加させていただくことになりました。
 この場には、私と一緒に、「新宿区議会民主党・無所属クラブ」で活動している、久保広介新宿区議、そして小野裕次郎新宿区議も、参加しています。

 さて、先々月の19日、「戦争法案」とも言われる「安全保障関連法案」が、参議院を通過し、法律として成立しました。しかし、既にご存知と思いますが、この法律は、その核心部分において、憲法違反という重大な欠陥を抱えています。
 日本では、いや、憲法と呼ばれる法を持つすべての国では、憲法に違反する一切の法律は無効とされます。通常、このような無効な法律ができないよう、政府や国会は、法案が憲法に違反しないか、十分な時間をかけて、慎重に検討を行います。
 しかし、今回の安全保障関連法については、それが憲法違反であるとの指摘が多くの法律家、憲法学者、最高裁判所元長官、内閣法制局元長官からなされていたにも関わらず、「与党の数の力」を背景にして、形式的な審議を経ただけで、成立してしまいました。
 私たち法律家は、これは政府と与党による憲法の破壊行為であると深刻にとらえ、今回の法律成立によって傷ついた憲法を元に戻すために、活動を始めています。

 今回の法律が、どうして憲法違反であるのか、簡単にお話しさせてください。
 今回の法律の最も重要な部分は、「集団的自衛権」の行使を、認めていることです。
 「集団的自衛権」というのは、自国が攻撃されていなくても、同盟国が攻撃された時には、それを自国に対する攻撃とみなして、攻撃を行った国に対して一緒に反撃を行うということです。
 例えば、2001年9月11日に、ニューヨークで大規模なテロ事件がありました。アメリカは、この事件を起こしたアルカイダというテログループとそれをかくまっていたアフガニスタンのタリバン政府に対して、自衛権を発動しました。同時に、NATOに加盟していたヨーロッパの国々も、「集団的自衛権」を行使して、アフガン攻撃に参加しました。
 もし日本が、ヨーロッパの国々と同じように、集団的自衛権を行使すると、憲法が禁止する「戦争」や「武力行使」を行うことになります。明確な憲法違反です。

 このように言うと、「憲法の下でも、日本の自衛権は認められているはずで、『集団的自衛権』だけ許されないのはおかしい」と反論する人が出てきます。
 確かに、日本は自衛権を持っていて、それを行使するための「自衛隊」を持っています。しかし、それには憲法上の根拠があり、また限界もあります。
 これまでの日本国政府は、憲法前文に規定された国民の平和的生存権や、憲法13条に規定された生命、自由及び幸福追求権を保護するために、それに必要な範囲で実力を行使することは、許されていると説明してきました。国民の命を守るために、警察や消防があるように、憲法上の根拠があるから自衛隊も置くことができるという説明です。
 それと同時に、自衛権や自衛隊が存在する根拠は、国民の生命、自由、幸福追求権なのですから、それが侵害されないような場合には、自衛権を行使することに憲法上の根拠はなく、憲法9条の制限を受けることになります。
 これが「個別的自衛権」と言う考え方であって、「我が国に対する急迫、不正の侵害」がある場合に、その排除に必要な限度でのみ、行使できるものと理解されてきました。
 先ほど述べた「集団的自衛権」というのは、「我が国に対する急迫不正の侵害」がなくても反撃を行うものなので、憲法上の根拠がないばかりでなく、憲法9条に違反してしまうのです。

 今回の法律成立のために積極的に活動していた高村正彦さんという自民党議員がいます。この方は、かつて外務大臣であった時に、私が先ほど述べた憲法の理解を前提にして、「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」と明言した人です。そのような人が、「集団的自衛権の行使も憲法上許される」と主張するのですから、矛盾を通り越して支離滅裂としか言いようのない状況が、この国の政治には起こっているのです。

 今回の「戦争法」、「安全保障関連法」の存在を許すことは、この国の憲法そのものを破壊してしまうことにつながります。
 そもそも、近代国家、現代国家が憲法を持つ理由はなんでしょうか。それは、ともすれば暴走してしまう政治権力に対して、権力を行使してよい範囲を明確に示し、それを超えた場合には、無効と宣言するためにあります。従って、近代国家、現代国家では、国家は憲法上の根拠がない行為を行ってはならず、同時に憲法上禁止された行為も行ってはならないのです。このような大原則を、「立憲主義」といいます。

 この「立憲主義」が無視されると何が起こるのか。それは、憲法をないがしろにした人権侵害をとがめることが出来なくなるということです。
 私たちは、憲法上、財産権が保障され、表現の自由が保障され、理由のない身柄拘束を受けない権利を保障され、その他さまざまな権利、自由を保障されています。
 「立憲主義」を無視した「解釈改憲」は、こういったものをすべて無意味にしてしまいます。
 憲法にも法律にも頼ることができない、非常に不自由な社会になりかねないということです。
 こういうことをストップするために、「立憲主義」を無視した、「解釈改憲」をベースにした、今回の法律は、必ず廃止しなければならない。多くの法律家がそのように考えています。

 最後に、今日この高田馬場駅前には、今回の法律に徹底的に抵抗した政治家も参加しています。
 一人は、昨年の初夏に、安倍内閣が「集団的自衛権」を行使できるように憲法解釈を変えたとき、野党の先頭に立って、党首討論の場で戦った海江田万里・前民主党代表です。
 もう一人は、参議院の特別委員会で、先々月の17日まで徹底的な抵抗を行った。小川敏夫・参議院議員です。小川議員は、元法務大臣、弁護士らしい議論を展開し、政府を追い詰めましたが、数の力の前に法案は通過してしまいました。

 私たちは、誰が「立憲国家日本」のため、国民のために戦ったのか、しっかりと覚えておかなければならないと思います。そして、そのような政治家と共に、憲法破壊を止めるための活動して行きたい。このように決意表明させていただき、私のお話しを終えさせていただきます。

 ご清聴ありがとうございました。

20:45 2015/11/01

 【ジョージア州議会見学】
TPP閣僚会合に合わせてアトランタ市を訪れた際、合間の時間を使ってジョージア州会議事堂(Georgia State Capitol)を見学しました。1889年に建てられた米国の歴史的建造物の一つです。連邦議会と同様に上院と下院があります。

リンク先にいくつかの写真を載せたので、ご覧いただければ幸いです。

https://www.facebook.com/media/set/?set=a.1700325700198461.1073741832.1615242948706737&type=3

9:11 2015/10/09

 【TPP交渉/アトランタ閣僚会合】
2015年9月30日から10月5日まで、米国ジョージア州アトランタ市において、TPP閣僚会合が行われました。

私は、TPP交渉差止・違憲訴訟弁護団のメンバーとして、弁護団共同代表の山田正彦先生とともにアトランタに行き、9月30日から10月2日まで、閣僚会合の行方を見守るとともに、海外のNGOや報道関係者からの情報収集を行い、NGO主催のアピール活動に参加しました。

交渉の結果については、報道されているとおり「大筋合意」が成立しました。しかし、早くも米国では有力な議員や大統領候補がそろってTPP反対を唱え、またカナダでは10月19日に行われる総選挙でTPP交渉を推進したハーパー政権が劣勢に立たされるなど、今後の詰めの交渉や議会での承認手続の見通しが怪しくなってきました。

特に米国では、「通貨操作禁止条項」の導入要求、マレーシアの人権問題、医薬品のデータ保護期間を8年で妥協したこと(米国では12年)等の問題が解決しない限り、議会の承認を得られないのではないかとも言われています。「通貨操作禁止条項」は、現在のTPP協定案には含まれていないようなので、米国での議会承認を得るために、今後再交渉がなされる可能性があります。この条項は、ここ2、3年の円安ドル高を招いた日本の金融緩和をも為替操作として認定する可能性があり、将来日本の金融政策の自主性、自由度を阻害する恐れもあります。

このように、「大筋合意」がなされたと言っても、TPPが本当に発効されるのか未だに疑問があり、また日本がさらなる譲歩を強いられて国益を損なう危険も付きまといます。TPPは多国間の国際条約であり、一旦発効すれば、国内の法律に優先するので、安全保障法制と異なり、政権交代などによる政策変更があっても原状回復は困難です。日本の将来に禍根を残さないよう、政府がTPPで何を約束しているのか、今後もしっかりとチェックしていく必要があります。

なお、TPP交渉差止・違憲訴訟弁護団では、今回の「大筋合意」を受けたコメントを発表しました。私もコメントの起草者として関与しています。下記リンク先でご覧ください。

http://tpphantai.com/info/20151008-statement-about-tpp-agreement-in-atlanta/
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TPP交渉「大筋合意」を受けて

平成27年10月8日
TPP交渉差止・違憲訴訟の会
弁護団共同代表 弁護士 山田 正彦
同    弁護士 岩月 浩二

9月30日から10月5日(現地時間)にかけて、米国ジョージア州アトランタ市で行われたTPP交渉閣僚会合の最終日、交渉参加12か国は、TPP交渉が「大筋合意」されたことを発表しました。

閣僚声明は、TPPが「世界経済の40%近くにより高い基準をもたらす」ものであり、「各国間の貿易及び投資の自由化に加えて」、「各国のステークホルダーが直面する課題に対処」するものであると主張しています。しかし、TPPが「貿易及び投資の自由化」の名の下に、日本を含む締約国の人々に多大な損害を与えるものであることは、これまで私たちがTPP交渉差止・違憲訴訟を通じて訴えてきた通りです。

今回の「大筋合意」の内容は、交渉に参加した閣僚らが発表した「環太平洋パートナーシップ協定の概要」及び政府の内閣官房TPP政府対策が発表した「環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)の概要」に記載されています。市場アクセス交渉の結果を見ると、コメに関して米国と豪州に対して新たに7万8400トンの輸入枠を与え、砂糖に関して精製用原料糖の関税を無税とし、牛肉・豚肉の関税を大幅に引き下げるなど、重要5品目を守ることを要請した衆参両院の農林・水産委員会決議がないがしろにされています。また、市場アクセス以外の分野では、「合理性」、「客観性」、「公平性」や「透明性」といった言葉を隠れ蓑にして、医療、食の安全、雇用、教育、公共事業や知的財産権などの領域で、我が国が国民の利益を守ることが困難になるような制度の導入を可能にする取り決めがなされています。投資家が国を仲裁にかけるISDS条項も、農林・水産委員会決議が求めた濫訴防止の工夫がなされているとは言い難い状況です。

私たちは、このようなTPP協定を政府に締結させるわけにはいかないと、改めて確認したところです。

現時点のTPPは、あくまで「大筋合意」がなされたにすぎず、今後は、閣僚会合で解決されていない課題の交渉、そして具体的な協定文をまとめる交渉が行われる予定です。それには数か月の時間がかかるとも言われています。

また、協定文がまとまった後は、各国での批准手続きが待っています。既に米国では「通貨操作禁止条項」の導入要求、マレーシアの人権問題、医薬品のデータ保護期間を8年で妥協したこと(米国では12年)等の問題を巡り、多くの議員が反対を突きつけることが予想されています。また、議会承認を得る前に大統領選挙期間に突入し、TPPを発効させることが長期にわたって不可能な「塩漬け状態」になります。カナダでは、10月の総選挙で現政権が敗北し、議会承認が得られなくなる可能性が指摘されています。

そして日本でも、来年の通常国会で承認手続きが進められると予想されますが、夏の参議院議員選挙への影響を指摘する声が上がりつつあります。

今回、政府は、国益を犠牲にした一方的譲歩を重ねてまでも、他の交渉参加国を「大筋合意」に誘導しました。その背景には、形だけの「大筋合意」であっても、TPPという大義名分を作ってしまえば、「TPPに対応するため」、「TPPによる影響を緩和するため」といった名目で、法制度を改変したり、バラマキ予算を組むことができるという事情があるとも指摘されています。

現に、政府は、TPP交渉と歩調を合わせるように、外国人の単純労働者の受け入れを可能にする国家戦略特区法改正、労働者を使い捨てにすることを可能にする派遣法改正や外資による病院経営を可能にする医療法改正等を推進しています。

今後も、このようなTPPに便乗した施策が次々と現れることが容易に予想されます。TPPを隠れ蓑にした政府の暴走を阻止しなければなりません。

私たちは、引き続きTPPが我が国にもたらす被害を広く国民の皆様にお知らせするとともに、今年5月に提起したTPP交渉差止・違憲訴訟を通じ、政府によるTPP協定の交渉と締結を止めるべく全力で活動を続けてまいります。

8:45 2015/10/09

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