【学習会「私たちの命の源が危ない~水・種子・食の安全を守ろう!~」】
2018年10月15日(月)16時から、衆議院第一議員会館多目的ホールで水道法改正の問題についてお話しさせていただきます。お時間があればご参加ください。

 【英国でのPPP/PFIの状況に関する調査】
英国におけるPPP/PFIに関し、グリニッジ大学でDavid Hall教授の話しを聞きました。
Hall教授は、PSIRU(国際公務労連の研究機関)で公共政策を研究してきた方で、英国労働党の公共政策に影響力を持っています。

英国でのPPP/PFI導入時の議論から、PPP/PFIの構造上の問題、そこから生じた失敗事例、そして再公営化の検討まで、2時間にわたる充実した講義と質疑、さらに食事をしながらの議論の機会をいただきました。

詳細についてはどこかでレポートする機会があると思いますが、簡単に、

・PPP/PFI導入時の議論において、現在顕在化しているPPP/PFIの問題点については既に指摘がなされていたが、「財政難のため他に選択肢がない」という主張に対抗することが困難であった。

・SPV(特定目的会社)とプロジェクトファイナンスの手法を用いるPPP/PFIでは、株主配当と(公債と比較して)高い資金調達コストが、施設・サービスの利用料金や委託料の上昇圧力として機能した。

・他方で、事業リスクの移転や事業効率の向上という(主張されていた)メリットは実現が困難であった。ロンドンの鉄道事業、マンチェスター市のごみ処理事業、倒産したカリリオンなど、失敗事例も国民の論議を呼んだ。

・こうした中で、国民一般だけでなく、議会においても、PPP/PFIを問題視する議論が広まっていった。

・労働党は、サッチャー政権以来の民営化路線に正面から異論を唱えることに躊躇していたが、ジェレミー・コービンが率いた昨年の総選挙で水道とエネルギーを再公営化すると訴え、それが国民の支持を得た。

・現在では、保守党、労働党を問わず、PPP/PFIを擁護する論調はなく、最近も下院の委員会レポートで問題点が指摘されている。フィナンシャルタイムズもPPP/PFIの失敗を論じる状況にある。

・労働党は、昨年の総選挙での公約実現のため、原則として全てのPFI案件を再公営化する手法と財政的手当に関する政策検討を行っている。

・マンチェスター市では、ごみ処理事業のPFIが失敗し、市がSPV(特定目的会社)の支配権を1ポンドで譲り受け、公債発行によりSPVの債務をリファイナンスし、事業を再公営化した。同様の手法を適用することが考えられる。

というものでした。

3年以内に行われる次の総選挙の結果次第では、労働党が検討する再公営化が、政府の政策として実現される可能性もあります。
他方で、投資家との再交渉の困難さ、財政負担が英国経済に与える影響、投資協定との抵触など、様々な検討課題があるように思われ、これらについても議論をすることができました。

英国は30年近くPPP/PFIを経験し、日本はこれから本格化しようという段階にあるため、現在英国で行われている議論が、そのまま日本の検討課題になるということはありません。
しかし、PPP/PFI推進施策を実行し、その出口を苦労して模索している英国の状況は、日本の未来の姿を暗示しているようにも思われます。
「財政難のため他に選択肢がない」という主張に抗することができなかった結果、どういうことが生じたのか、よく見ておく必要があります。

講義を受けたグリニッジ大学は、テムズ河畔の元王立海軍学校の跡を利用して運営されています。構内各所や学外の街並みにその時代の名残があり、有名なカティ・サーク号も近くに展示されていました。

 【シンポジウム「みらいの水と公共サービス」】
 2月18日(日)午後1時から、都市センターホテルで標記のシンポジウムが開催されました。主催は全水道会館・水情報センターですが、私も、実行委員会のメンバーとして企画から参加させていただきました。

 近年、政府は、地方公共団体が保有する公共施設の管理・運営に関し、「PPP/PFI(いわゆる民営化手法)を活用しなさい」と促し、地方による自主的・自律的な公共施設の管理・運営を阻害するような施策(PPP/PFI推進施策)を講じてきています。
 この一環として、水道事業の管理運営権設定方式(コンセッション)による民営化を謳った水道法改正案が昨年の国会に提出され、今年も、PFI法の改正とともに水道法の改正がなされるといわれています。

 水道・下水道の民営化については、様々な議論がありますが、政府サイドからは、民営化によって水道事業をはじめとする公共サービスは質の向上とコスト削減を同時に実現できるかのような説明が多い状況です。しかし、既に公共サービスの民営化を進めてきたヨーロッパの状況を見ると、その説明が本当であるのか、疑問も生じます。
 そこで、このシンポジウムでは、国連大学上級副学長の沖大幹先生にSDGs(持続可能な開発目標)と水循環の重要性についてお話しいただくとともに、パリ市前副市長・水道局長のアン・ル・ストラさんにパリ市水道の再公営化についてお話しいただきました。

 アン・ル・ストラさんによれば、パリ市では1985年に水道事業の民営化がスタートしたものの、水道料金は逆に高騰し、運営も不透明になったとのことです。
 その理由として、民営化した場合、請け負った事業者は利潤を上げて株主配当や役員報酬に回す必要があり、また施設の維持・補修等に要する調達についても入札形式でなく関連会社に独占的に発注するため、運営コストがむしろ上昇することを指摘していました。
 また、2010年の再公営化後に検証したところ、請負事業者がパリ市に行っていた報告では業者の利益は年7%程度であったにもかかわらず、実際には様々な形で年20%程度の利益を上げていたことも判明したとのことです。

 民営化の全てが失敗するとは限りませんが、営利事業体(利益を上げて出資者に配当する仕組みの団体)が請け負った場合、構造的な問題を抱える可能性が高いことは、前提として踏まえておく必要があると思います。

 また、沖先生のお話しでは、水は人間の生命維持・健康に欠かせないものであり、上下水道による水循環の清浄化によって乳幼児の生存率向上や衛生状態の改善がなされてきたことから、水(水循環)は「公共のもの」として位置付ける必要があるとのことでした。宇沢弘文先生の言う「社会的共通資本」だということです。
 このような上下水道の運営は、社会全体で考え、責任を負う必要があり、そのためには、「現在水道では何が起こっているのか、課題を解決するにはどうすれば良いのか」という情報や議論を社会全体で共有する必要があります。
 その意味で、再公営化された後のパリ市水道が、市民参加のオブザーバトリー(監査委員会)を設け、水道事業運営の透明性向上を図ったことは、大変参考になると思います。

 シンポジウムの最後に、私も実行委員の一人として、まとめの挨拶をさせていただきました。私自身、大変勉強させていただいたシンポジウムでした。
 講師の先生方だけでなく、このような機会をいただいた全水道の辻谷貴文さんや中川崇さん、森山浩行・衆議院議員、トランスナショナル研究所の岸本聡子さん、素晴らしい通訳でシンポジウムを支えていただいた金塚彩乃弁護士や青地真美さんに感謝しています。

 【新年のご挨拶】
新年あけましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりました。
本年もよろしくお願いいたします。

立憲民主党に参加したことに伴い、新宿区議会の会派の名称も「立憲民主党・無所属クラブ」に変更しました。
しかし、私たちの政治姿勢や区政に対する考え方に変化はありません。
今後も、働く人、生活者のための政治を実現するため、地域から政治に取り組んでまいります。
(写真は、立憲民主党に所属する東京都内の地方議員の会合の際のものです。)

 【立憲民主党への入党】
 これまで所属していた民進党から12月11日付で離党し、14日に立憲民主党に入党しました。

 民進党が、9月28日の両院議員総会で、希望の党との合流を決めた際、民進党所属の地方議員は衆議院選挙後に希望の党に合流することとされましたが、私は、9月末の時点で希望の党に参加しないことを決めました。
 その後、10月3日に立憲民主党が結党され、東京1区でも民進党を離党して立憲民主党から立候補した海江田万里・前衆議院議員(当時)が小選挙区で当選しました。
 私は、選挙期間中、新宿区議会の民進党系会派所属議員とともに、海江田氏及び立憲民主党への投票を呼びかける選挙運動を行いましたが、地方議員に対する民進党の立場は、<原則として希望の党の候補者を応援すべきであるが、無所属や立憲民主党の候補者の応援も容認する>というものでした。東京1区に当てはめれば、希望の党の候補者とこれまで民進党の予定候補者として活動してきた海江田氏のいずれが当選しようと構わない、ということです。

 国政選挙に候補者を立てず、自らの将来を他党に委ねる決定を行い、また同一の選挙区で希望の党の候補者と立憲民主党や民進党系無所属の候補者が争っている状況でも明確な方針を示せなかったことは、民進党の国政政党・組織としての能力が失われたことを意味します。
 その民進党が、衆議院議員選挙後、希望の党への合流方針を撤回して新代表の下での再建を図り始めたことは、希望の党の現状を考えれば無理もないことです。しかし、一度国民に対して自分達は選択肢を示さないと表明し、事実上の解党を宣言した事実を踏まえれば、「覆水盆に返らず」と評さざるをえません。これは政策云々以前の問題であり、多くの国民が同様に見ていると思います。

 私は、9月末時点では、衆議院議員選挙後は無所属となるつもりでいましたが、暫くの間、一度事実上の解党を宣言した民進党がどのような方向を示すのか見守っていました。そのような中、立憲民主党が地方組織を立ち上げることとしたため、新宿区議会の民進党所属議員とともに、今後も地域に根ざした仲間として一緒に行動し、また選挙で応援した海江田万里・衆議院議員や立憲民主党を通じて地域の声を国政に反映させたいと考え、民進党を離れ、立憲民主党に参加することを決心しました。

 民進党が目指した社会像や政策は今後も国政・地方を問わず実現を目指すべきものであり、また民進党で一緒に活動させていただいた皆様に対しては感謝しかありません。
 今後も初心を忘れず、幅広い皆様と活動をともにしながら、より良い社会を目指して参りたいと思います。

 【第6回区政報告会の開催】
 12月9日(土)午後4時から6時半頃まで、新大保のゆめいろCafeにて座談会を開催しました。
 多くの皆様にご参加いただき、海江田万里・衆議院議員、白眞勲・参議院議員、山田正彦・元農相から激励をいただいたほか、佐々木隆博・衆議院議員よりメッセージをいただきました。
 私からの区政報告のほか、海江田先生、白先生、山田先生から国政に関する議論をお聞きしました。また、私から「地方議員から見た社会の市場化」という問題提起を行った後、山田先生から種子法の廃止と私たちの「食」の未来についてお話しをうかがいました。
 2時間半では足りないほど様々な話題に議論が及びましたが、今後も参加者の皆様に区政のトピックを伝え、また意見交換ができる会を続けていきたいと思います。

 【第6回区政報告会のお知らせ】
半年に1度の区政報告会を、12月9日、以下の要領で開催します。

私から区政報告及び活動報告をさせていただくほか、海江田万里・衆議院議員、小川敏夫・参議院議員及び山田正彦・元農水大臣にもお越しいただき、国政に関するお話しもうかがう予定です。
師走に入り、お忙しいところ恐縮ですが、ご参加いただければ幸いです。

○日時:2017年12月9日(土曜)午後4時から6時
○場所:新宿区百人町2-11-23 新大久保コミュニケーションビル2階「ゆめいろCafe」(電話:03-5348-5331)
(1階がマイバスケットの建物の2階です。)
○会費:無料(飲食を伴わない報告会とさせていただきます。)
 
*区政報告会閉会後、近隣の飲食店にて懇親会も予定しております。
*ご不明の点等ございましたら、三雲崇正事務所(03-6380-3185)までご連絡ください。

 【新宿協同集会2017「誰もが参加できる、ささえ合いのまちづくり」】
 11月26日(日)の午後、「新宿まちづくりネットワーク」主催の新宿協同集会2017に参加しました。

 最初に、一般社団法人くらしサポート・ウィズの志波早苗さんや、新宿区戸山シニア活動館・館長の滝口宏輔さんから、人と人が支え合うコミュニティづくりを目指したそれぞれの活動に基づき基調報告があり、その後、少人数に分かれてグループディスカッションが行われました。

 グループディスカッションでは、地域コミュニティが抱える問題点や、今後それをどう克服するべきかといったことについて、それぞれの経験から話し合いが行われましたが、高齢化率が約60%に達した戸山ハイツで生活する参加者のお話しは大変勉強になりました。
新宿区内でも、地区によってコミュニティの抱える課題は異なりますが、町会、自治会、商店街のような「伝統的な」主体と、区外から移り住んできた若者や外国人、それぞれのテーマを持って活動している区内団体といった「新しい」主体とが、一緒になって「地域」をつくることが重要です。

 私も最後のまとめの話しをさせていただきましたが、まずは、身近にどのような人たち、団体がいるのか、それぞれがどのようなテーマで活動しているのかを理解するところから始め、多様な主体が、多様性を尊重し合いながら、「一緒に地域をつくる」ことを目的として協同できる仕組みづくりを進めていきたいと思います。

 【民進党と希望の党−不忘念−】
 ここ数日の間、希望の党という小池都知事が立ち上げた政党に、民進党の衆議院議員候補予定者が参加し、その後、民進党全体も合流するという構想が話題になっています。
 希望の党は、小池都知事の人気や先の都議会議員選挙の勢いをかって、今回の衆院選挙でも大きな「風」を起こし、相当の得票をすることが予想されています。多くの人が、この「風」に乗って行動したいと考えることも無理からぬことと思います。
 この間、民進党側の立候補希望者については希望の党(小池都知事)が選別し、「リベラル派は排除する」ということが報道や記者会見で述べられています。また、希望の党が日本維新の会と選挙協力し、大阪では希望の党公認候補は立てないことで合意した結果、民進党側の大阪での立候補予定者は、希望の党から排除されることも分かってきました。
 民進党内では、前原代表より、希望の党は民進党と同じ方向性を持つ政党であり、民進党の立候補予定者全員が希望の党のメンバーとして活動することになると説明され、そのことを前提に、民進党の両院議員総会では、冒頭の構想について全会一致で了承されたと理解しています。
 しかし、現実は前原代表の説明と異なるものであり、「リベラル派は排除する」という方針に従って進んだ場合、民進党の仲間(衆議院議員候補者だけでなく、参議院議員、地方議員、労働組合や党員・サポーター)の多くは、希望の党の中に活動場所がありません。
 私は、3年前、@日本国憲法が掲げる諸原則を国・地方を問わず政治を通じて実現すること、A「風」に頼らない地域に根差した政党(仲間)を作ること、B地域の声を国政に反映させること、を目的に政治の世界に身を置くこととしました。この3点は、私の政治活動の原則であり、今後も、この原則に従って行動します。
 民進党の地方議員は、現時点では、衆院選挙後に希望の党に合流する予定とされています。私は、自分が「リベラル」であると自己定義していませんが、「リベラル派は排除する」という方針で組織された政党には参加しません。
 ただし、これまで活動を共にしてきた海江田万里・元衆議院議員の活動については、どこに所属するか(あるいは無所属であるか)に関わらず、今後も全力で協力してまいります。
(2017年10月1日19時27分)

 【TPP・FTAと公共政策の変質】
9月25日、「TPP・FTAと公共政策の変質−問われる国民主権、地方自治、公共サービス−」という本が、自治体問題研究所から刊行されます。
私も、岡田知弘・京大教授にお声掛けいただき、第4章「国民・住民主権を侵害するISDS条項」を執筆しました。
TPPについては昨年のこの時期に国会でも論戦となり、その後トランプ大統領の登場で漂流したことが記憶に新しいと思います。しかし、政府はTPPの後も、日欧EPA、RCEPやTPP11(米国抜きのTPP)など、同様の性格を持つ「メガFTA」交渉に参加しており、TPPで問題となった事柄は、今なお真剣に検討すべきものです。
この本は、こうした「メガFTA]の問題点を指摘するとともに、その代替となるべき方向性を示す内容となっています。
定価2300円+税となっていますが、お声掛けいただければ2割引きでお分けすることが可能です。是非お読みいただければ幸いです。
(下記リンク先は、出版社の注文ページです。)
https://www.jichiken.jp/book/9784880376721/

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